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特許の知識

発信主義とは?

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1.発信主義とは?

「発信主義」とは、通知を発信した時に、その効力が生じるとするものです。一方、通知が相手方に到達した時に、その効力が生じるとするものを、「到達主義」と言います。

 

特許出願においては先願主義が採用されているため、1日でも早く出願した方が有利となります。しかし、出願書類の提出先である特許庁は、日本に一箇所(東京都)しかありません。

 

そのため、「到達主義」を採用した場合には、特許庁に出願書類が到達するまでの郵送日数が多くかかってしまう、遠隔の地に住んでいる人は、不利な扱いを受けることとなります。

 

このような地理的な不平等を解消するため、出願書類や提出期限の定められた書類については、郵便局に差し出した日時に書類が特許庁に到達したとみなす「発信主義」が採用されています。

 

2.発信主義が適用されるための要件

それでは、どのような場合に「発信主義」が適用されるのでしょうか。特許法第19条には、以下のように定められています。

 

願書又は・・・特許庁に提出する書類その他の物件であってその提出の期間が定められているものを郵便又は・・・信書便法・・・に規定する信書便・・・により提出した場合において、その願書又は物件を日本郵便株式会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る。)に差し出した日時を郵便物の受領証により証明したときはその日時に、その郵便物又は・・・信書便物・・・の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときはその日時に、その郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日時のうち日のみが明瞭であって時刻が明瞭でないときは表示された日の午後十二時に、その願書又は物件は、特許庁に到達したものとみなす。

書類の種類

「発信主義」が適用される書類の種類は、「願書」又は「特許庁に提出する書類その他の物件であってその提出の期間が定められているもの」となります。

 

つまり、出願書類や、提出の期間が定められている、出願審査請求書、拒絶理由通知に対する意見書や手続補正書などには、「発信主義」が適用されます。

 

一方、提出の期間が定められていない、「住所変更届」や「移転登録申請書」などには、「発信主義」は適用されず、書類が到達したときに、これらの書類が提出されたこととなります。

郵便等の種類

「発信主義」が適用されるためには、書類を「郵便」又は「信書便法に規定する信書便」で提出する必要があります。

 

つまり、「定形郵便」や「定形外郵便」で書類を提出した場合には、「発信主義」が適用されます。

 

一方、提出の期間が定められていない、「住所変更届」や「移転登録申請書」などには、「発信主義」は適用されず、書類が到達したときに、これらの書類が提出されたこととなります。

受領証、通信日付印

「郵便物」の場合は、

①郵便物の受領証により郵便局に差し出した日時が証明できる場合はその日時に、

②郵便物の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときはその日時に、

③郵便物の通信日付印により表示された日時のうち日のみが明瞭であって時刻が明瞭でないときは表示された日の午後十二時(その日の終わり)に、

書類が特許庁に到達したものとみなされます。

 

一方、「信書便物」の場合は、

①信書便物の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときはその日時に、

②信書便物の通信日付印により表示された日時のうち日のみが明瞭であって時刻が明瞭でないときは表示された日の午後十二時(その日の終わり)に、

書類が特許庁に到達したものとみなされます。

つまり、「郵便物」の場合には、受領証により差し出し日時が証明できるか、通信日付印により日時又は日が表示されていれば、「発信主義」が適用されます。

また、「信書便物」の場合には、通信日付印により日時又は日が表示されていれば、「発信主義」が適用されます。

 

しかし、「信書便物」の場合には、受領証により差し出した日時が証明できたとしても、通信日付印がなかったり、通信日付印により表示された日時が不明瞭である場合などには、発信主義が適用されませんので、注意が必要です。

特許法施行規則第11条の4の2にも、以下のように定められています。

 

特許法第十九条の経済産業省令で定める信書便の役務は、信書便物を引き受けた後、速やかに、当該信書便物に通信日付印を押印するものとする。

3.PCT出願、審決取消訴訟の場合の留意点

また、PCT出願や裁判所への訴訟の提起については、「到達主義」が採用されていますので、注意が必要です。

PCT出願を行う場合や、審決取消訴訟を提起する場合などは、うっかり期限を徒過しないように気を付けなければなりません。

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