特許を通して貴社の事業発展をサポートします

こんにちは。田村です。


先日、タクシーを利用したときのことです。
料金の支払いの際に、運転手さんが計算ミスをしていて、
お釣りを多く渡してくれたのです。


計算すると、600円ほど、多くお釣りを受け取っています。
運転手さんは、まったく気づく気配はありません。


「ありがとうございます!忘れ物がないようにしてください」
とニコニコしています。



そして、私の中で、天使と悪魔が喧嘩をしはじめました。

「運転手さんが間違って渡したんだから、
 もらっておけば良いのに」

「それはちがうぞ!、きちんと返すべきだ!」


そんな小競り合いが、数秒間、続きましたが、
最終的には、運転手さんにお釣りが間違っていることを告げ、
多く受け取った額を返却しました。



ここで600円を受け取るよりも、正直に返した方が、
自分も健全な気持ちが維持できるでしょうし、


そうした健全な心持ちで、日常を過ごすことで、
600円以上の幸運がやってくるような気がします。




さて、本題です。


特許事務所を開業する前に務めていた事務所の
所長の教えで、今も大切にしている教えがあります。


「意見書は自分が特許を取れると思えるものでなければ、
 とおらない」

というものです。


拒絶理由通知への対応として意見書を書きますが、

書いた本人が「審査官の判断を覆せる」と思えるもの
でなければ、特許が認められるはずがない、

そのとおりだと思います。


自信の有る、無しが、文書にも現れるんでしょうね。



別に意見書でなくても、その他のことでも同じで、
自分でできると思えることでなければ、
やはり、うまくいかなったりするものです。


この教えを踏まえ、

この内容であれば、審査官も特許を認めざるを得ないだろう、
ぐうの音も寝ないだろう、

と自分自身が思えるところまで、意見書の内容を練ることを
意識しています。


そうすると、引用文献の内容が近くて、特許にするのが
難しいと思える案件であっても、意外と特許になったりするものです。


もし、意見書を書いた後、一度、内容を読んでみて、
拒絶理由が覆せるかどうか自信がない、
ということであれば、自信が生まれるまで粘ってみてください。


良い案が生まれるかもしれませんよ。



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メールマガジン「役に立つ特許実務者マニュアル」は
著作権により保護されています。

また、本メールマガジンは、私個人の特許に対する考え方や
ノウハウをお伝えするものであり、ご紹介する内容のすべてが
絶対的に正しいとは、考えておりません。

その点について、予めご了承いただいたうえで、お読みください。


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こんにちは。田村です。


私事ですが、この8月から特許事務所を特許業務法人
としました。


これを機に、よりお客様に喜んでいただけるよう研鑽し、
組織としても成長していきたいと思っています。


とは言っても、法人として問題なく業務を行うには、
まだ諸手続きが残っており、落ち着くまで少し時間が
かかりそうです。




さて、本題です。

平成20年の特許法の改正で、特許査定がだされた後も
分割出願をすることができるようになりました。


それまでは、最初の拒絶理由通知が出される前は、
いつでも分割出願が可能でしたが、一度、拒絶理由が
だされた後は、

・拒絶理由通知に対する意見書提出期間
・拒絶査定不服審判請求から30日以内

に限って、分割出願が認められていました。

 

改正後は、

・拒絶理由通知に対する意見書提出期間
・拒絶査定がだされてから3か月以内
・特許査定がだされてから30日以内

であれば、分割出願ができることとなりました。


分割出願をすることで、親出願とは異なる内容で
特許権を取得することができますので、

一つの技術について、複数の特許で多面的に権利化する
ことも可能となります。



このような技術の多面的な保護を検討する機会として、
特許査定が出された後は最適です。


特許査定が出された後は、親出願の権利の内容が確定して
いますから、親出願の権利の内容が確定していない場合に
比べ、その検討も容易です。



ただ、審査において、特許査定が出されなかった場合、
気を付けないといけないのは、

一部例外はありますが、拒絶査定がだされてから3か月以内が、
実質的に、分割出願の最後の機会となることです。


拒絶査定不服審判が認められて特許審決がだされたとしても、
この場合は、そのあとの分割出願は認められません。


ですから、親出願について拒絶査定にどう対応するかを
検討しつつ、子出願の請求項をどのようにして出願するかを
検討する必要があります。



幸い、拒絶査定が出されてから3か月間ありますので、
その間にじっくり検討をして、対応することが可能です。



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ノウハウをお伝えするものであり、ご紹介する内容のすべてが
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その点について、予めご了承いただいたうえで、お読みください。


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こんにちは。田村です。


以前、職場近くのカレーチェーン店に行ったときのことです。
閉店間際にお店に入り、食事をし、会計をすませると、
急に大雨が降ってきました。


傘も持ってきていません。


そこで、カレー店の店員さんに、少しの時間だけでも、
雨宿りをしても良いかと尋ねると、「もう店を閉めるから
ダメです」の一言。


ずぶぬれになって帰ってください、
と宣告されたのも同然でした。。。


傘を持たずに外出した自分が悪いのですが、
それでも腹が立ちました。


閉店するにしても、傘を貸すなどの方法はあったと思う
のですけれども、結局、ずぶ濡れになって帰りました。


思うのですが、この店員さんが「カレーライスを提供すること」
を目的として仕事をしているのではなく、
「お客さんに喜んでもらうこと」を目的として仕事をしていたら、
結果も違っていたのではないかと。


仕事において、「目的」は何よりも重要で、
例えば、カレー店でのカレーライスの提供は目的ではなく、
目的を達成するための一手段なんだと思います。



特許についても、同じことが言えるのではないかと思っています。

特許を取得することを目的化してしまうと、
本来、得たい結果が得られないことがあります。


例えば、特許庁からの審査で拒絶理由通知がだされたような場合、
特許がとれるからという理由だけで、請求項の範囲を補正すると、

自社の製品もカバーしていない、競合他社に対する牽制にもならない
特許権になってしまうことがあります。


自社の技術や強みを特許で保護する、
競合他社とのクロスライセンスに活用するなど、

事業を有利に進めるという目的を達成するための手段として、
特許権の取得があるのだということを忘れずに、業務に励みたい
と思っています。



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また、本メールマガジンは、私個人の特許に対する考え方や
ノウハウをお伝えするものであり、ご紹介する内容のすべてが
絶対的に正しいとは、考えておりません。

その点について、予めご了承いただいたうえで、お読みください。


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こんにちは。田村です。


先日、事務所近くの和食の店で昼食をとりました。

一緒に食事に行った人が海鮮丼を注文したのですが、
お刺身のど真ん中に、マヨネーズがどっさりと、、、


「海鮮丼にマヨネーズって、珍しいね」

なんて言ってたら、実は、湯葉でした。


すごく恥ずかしかったです。



さて、本題です。


前回は、実際の製品をもとに、単に上位概念化して、
特許請求の範囲を記載しても、うまくいかない場合がある

とのお話をさせていただきました。



例えば、従来は「円柱状の鉛筆」しか存在しなかった
ような場合に、鉛筆が机の上を転がりにくくするために、
「六角柱状の鉛筆」を発明した場合、

単に上位概念化すると「多角柱状の鉛筆」となります。


ですが「楕円柱状の鉛筆」でも、机の上を転がりにくい
という効果はありそうです。


では、特許請求の範囲をより広く記載するために、
どうすればよいか?

ということですが、まずは、

「多角柱状の鉛筆」の他、同じような発明の効果が
得られる具体例が何かを考えます。


そうして思い浮かぶ具体例の一つに
「楕円柱状の鉛筆」があります。

その他にも、円柱を薪割りで割ったような形状でも、
よいかもしれません。



次に、これらの具体例を参考にしながら、
発明の効果を得るために必要な要素は何かを考えます。


「多角柱状」や「楕円柱状」に共通していて、
転がりにくいという発明の効果を得るために
必要な要素は何でしょうか。


私が考えるのは、

鉛筆の底面とは平行な方向における断面をみた場合に、
その中心点から外周までの距離が一定ではないということ。

つまり、円でなければ、何でもよいということなのですが。


転がったときに、重心の高さが変わることで、
転がりが抑制されるのではないかと思います。



あとは、中心から外周までの距離が一定ではない、
という概念を文章にしていけば、いいわけです。




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こんにちは。田村です。


私の事務所では、毎日、技術系スタッフで
特許庁の審査基準の読みあわせを行っています。


もう何度も審査基準を読んでいるのですが、
それでも毎回、新しい発見があります。
ほんとうに、奥が深いです。


毎日30分という短い時間ですが、週5日で
2時間30分、1年にすると130時間です。


地道ではありますが、こういう積み重ねが
大きな差になるはずだと思い、取り組んでおります。




さて、今日は、特許請求の範囲を記載する際の
考え方についてです。

特許請求の範囲を記載する際は、可能な限り、
発明を上位概念化して記載すべきだと、よく言われます。


より広い権利範囲を取得するために、
発明の上位概念化は必要なのですが、

それだけではうまくいかない場合があります。



例えば、従来は、円柱状の鉛筆しか存在しなかったとします。
ただ、鉛筆が机の上を転がりやすいという問題があります。

そこで、鉛筆が転がりにくくするために、
「六角柱状の鉛筆」を発明したとします。


これを上位概念化すると、「多角柱状の鉛筆」となります。


たしかに、より広い権利範囲とはなったのですが、
実際の使い勝手はさておき、

例えば、楕円柱状の鉛筆でも机の上を転がりにくくなります。



でも、「六角柱状の鉛筆」を上位概念化しても、
「楕円柱状の鉛筆」が含まれるような表現は
でてきそうにありません。


では、どうすればよいのでしょうか。


続きは、次回にて。



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