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- 夏休みの宿題にみる特許活動についての考察 - 第112号

2016.10.31 カテゴリー/ Column 

こんにちは。田村良介です。


かなりのご無沙汰になるのですが、
メールマガジンの発行を再開させていただきます。



特許事務所でクライアント企業の特許出願や
特許活動等を支援する中で培った、

考え方やノウハウ、気付いたことなど、

皆さまのお役に立てそうな情報を発信していきたいと
思いますので、

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。





中学生のころ、毎年、夏休みの宿題として、
読書感想文がだされていました。


これが、いやでいやで。
心の中で気になりつつも、手につかず。

気が付けば、もうすぐ夏休みも終わり。

毎年、この繰り返しでした。



大変お恥ずかしながら、

私が読書感想文の題材とした本は、
3年間、同じでした(笑)


中学二年生、三年生のときは、一年生のときに
読んだ本のことを思い出し、

本を読まずに読書感想文を書いて、提出したわけです。


国語の先生も、毎年違ったので、バレません。


読書感想文が宿題として出されるのは、
本を読むことが目的の一つだと思うのですが、

私の場合は、宿題を提出することが目的化してました。。。




この話とは、次元が違いますが、


特許の仕事をしていると、

特許をとることそのものが目的化してしまう、
そんなことがあります。

ですが、特許をとること、そのものが目的ではないはず。



企業が特許活動をすることの目的は、

他社と比べたときの事業の優位性を確保すること。



例えば、特許出願をするかどうかの判断は、

特許になりそうだから特許出願するのではなく、

特許をとることができたら、事業の優位性が
確保できるから特許出願をする、

ということだと思います。



拒絶理由通知がだされたときも、

特許をとることを目的にしているのと、
事業の優位性を確保することを目的にしているのとでは、

請求項の補正のしかたも変わってきます。




以前、こんなことがありました。


米国出願について、
オフィスアクションがだされたのですが、

非自明性(日本でいうところの進歩性)が
ないとの拒絶理由が挙げられていました。


現地代理人からの提案は、独立クレームを
下位のクレームで限定することでした。


現地代理人からの提案どおりに補正をすれば、
特許になる可能性は非常に高いと思われたのですが、

ただ、その下位のクレームは、すでに数年前に
すたれてしまった技術に関するものでした。



そのため、この下位のクレームで限定してしまうと、

仮に、特許をとったとしても、

クライアントの製品をカバーするものでもなければ、
他社の牽制にもならないと、考えられました。


私としては、現地代理人の提案どおりでは、
まずいと思いましたので、

クライアントの製品をカバーするような補正案を
提案させていただき、

最終的には、その内容で特許にすることが出来ました。



このように、

特許活動の目的を意識しながら、
一つ一つの仕事にあたっていくことで、

特許をとったけど、意味のない特許だった、
というようなことを、減らすことができます。



仕事全般に言えることですが、同じことをするのでも、
目的が変われば、やり方も変わってきます。

また、目的がぶれていると、良い仕事ができなくなったり、
その場、その場で判断が異なったり、場当たり的になります。
 

私自身も、目的がぶれないように、
意識をしながら、仕事に取り組んでいきたいです。



|◆今日のポイント◆
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 ☆特許活動の目的は事業の優位性を確保すること。
  目的を意識することで、有効な特許活動を行うことができる。


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