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-請求項のよくある失敗- 第180号

2018.12.10 カテゴリー/ Column 

 こんにちは。田村良介です。


 請求項を記載する際によくある失敗が、
 発明の対象となっている製品そのものに引きづられて、
 請求項を記載してしまうことです。


 例えば、発明品が、レーザーを照射して被加工品を
 切断していたとします。

 そうすると、
 「・・レーザー照射により被加工品を切断する切断手段・・」
 という請求項を記載してしまうことがあります。

 
 でも、実際は、レーザー照射以外の切断方法でも、
 優れた発明の効果が得られる場合があります。


 このように、発明品、つまり実施の形態に引きづられて、
 請求項を記載してしまうと、仮に特許権を取得したとしても、

 他社は、特許権侵害とならないように回避をしたうえで、
 発明のコンセプトだけを真似することができてしまいます。


 上の例の場合であれば、
 「レーザー照射」以外の方法で、被加工品を切断すれば、
 特許権の侵害を回避することができます。
 
 
 最も重要なのは、
 『発明の本質を捉えた請求項』を記載すること。


 特許を取得したとしても、

 請求項に不要な記載が入っていたり、
 本質からずれた記載となっていると、

 それだけ簡単に、
 特許権侵害を回避されてしまうことになります。


 では『発明の本質を捉えた請求項』を記載するには、
 発明の効果が発揮される理由を考え抜く必要があります。

 発明の効果は、どのような原理・現象で発揮されるのか、
 その原理・現象が発現されるために、必要な要素はなにかを
 考えぬきます。


 「これを別の要素に置き換えると、どうなるだろう?」
 「この要素を取り除いたら、どうなるだろう?」

 といったことを、あわせて考えると良いかもしれません。


 請求項を書いた後、或いは、チェックをするときに、
 そういった視点で考えていただくと、

 請求項に、不要な記載が入っていたり、
 本質からずれた記載となっていることにも気付くかもしれませんね。



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■当メールマガジンについて

※当メールマガジンは、私個人の特許に対する考え方や
 ノウハウをお伝えするものであり、ご紹介する内容の
 すべてが絶対的に正しいとは、考えておりません。

 予めご了承いただいたうえで、お読みください。

■メールマガジン「役に立つ特許実務者マニュアル」は
 著作権により保護されています。

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 こんにちは。田村良介です。


 先日、知財部のご担当の方から、

 『開発者から発明のヒアリングをするときに、
  何か気を付けていることはありますか?』

 というご質問を受けました。


 人それぞれ違うとは思いますので、
 これが正解ではないかもしれませんが、

 私は、主に2つのことに気を付けています。


 1つは、開発者の方からお伺いした内容が、
 特許が認められる可能性の低いと思われるもので
 あったとしても一方的に否定しない、ということ。


 特許が認められる可能性が低いと思われる場合は、

 『〇〇ような観点で工夫を追加していただくと、
  特許が認められる可能性も高くなります。

  このような工夫、考えられませんか?』

 といったお話をさせていただきます。 


 いただいたアイデアを一方的に否定をしてしまうと、

 開発者の方にせっかくご提案をいただいたのに、
 「特許は難しいものだ」という印象を与え、

 今後、ご提案をしていただけなくなるかもしれません。


 できるだけ次につながるように、
 心がけたいと思っています。



 もう1つは、
 『なぜ、その工夫をすると、優れた効果が発揮されるのか』
 を突き詰めること。

 優れた効果が発揮される理由、原理を、
 開発者の方からお伺いすることで、

 発明の本質的な要素は何かを、特定していきます。
 

 開発されたご本人も、優れた効果が発揮される理由を
 うまく言語化できていない場合もありますから、

 『この場合は、どうなりますか』
 『ここは、なぜ、このようになるのですか』
 『ここは、〇〇という理由で、こうなるのですか』

 みたいに、切り口を変えながら、
 
 頭の中で『なぜ』を繰り返しながら、
 質問をしていくと、よいかもしれません。


 そのように繰り返していくと、

 Aという工夫をすると、Bという理由で、
 Cのような現象が起こり、Dという結果になる、

 みたいな1つのストーリーができあがり、


 発明の本質的要素を、請求項として記載するための
 材料が集まってきます。 



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-野球から学ぶ練習方法- 第178号

2018.11.19 カテゴリー/ Column 

 こんにちは。田村良介です。


 突然なのですが、スポーツの練習って、

 いつも実戦形式の練習をするわけではなく、
 基礎的な練習の方が多いですよね。


 私、高校と大学でラグビー部に所属していたのですが、
 実戦形式の練習が毎日あるわけでもなく、

 基礎的な練習の時間の方が、実戦形式のものよりも、
 圧倒的に長かったような気がします。


 あまり野球には詳しくないのですが、

 プロ野球の選手も、
 ピッチャーが投げたボールを打つ練習もしているかと
 思いますが、素振りやトスバッティングもしています。


 スポーツは、複数の要素がからみあって、
 それが結果としてあらわれます。


 例えば、バッティングであれば、

 無駄のないフォームでバットを振るという要素と、 
 投手の心理を読んで、ボールのコースを読むという要素と、

 があるかもしれません。

 
 練習の際は、これらの要素を一緒に練習するよりも、

 それぞれの要素ごとに練習した方が、
 はるかに練習の効果が高くなるように思います。


 そういった理由から、プロ野球の選手も、
 素振りやトスバッティングをするのではないでしょうか。


 
 実は、請求項を書くというスキルについても、
 同じことが言えるのではないかと思っています。


 請求項を書くというスキルは、

 発明の本質的な部分がどこにあるのかを捉えるという要素と、
 発明の本質的な部分を、文章で適切に表現するという要素と
 
 から成り立っています。


 そこで、今日は、文章で適切に表現するための
 練習方法をご紹介します。


 まずは、お手本となる請求項を1つ用意します。
 このお手本となる請求項をじっくり読んで、内容を把握します。

 次に、お手本を見ないようにして、
 自分で、この請求項の再現を試みます。


 できあがったら、お手本と、再現したものを見比べてみます。
 これを何度も繰り返します。



 この練習をすると、請求項を書く際に、

 どの順番で、何を書けば良いのか、
 どのような表現を用いれば良いのかなど、

 請求項を書く際のルールを学ぶことができます。



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 こんにちは。田村良介です。


 株式会社R&D支援センター様のご主催で、
 拒絶理由通知への対応(主に、新規性・進歩性)をテーマに、
 お話をさせていただきます。

 ここ3年ほど、毎年、R&D支援センター様にて、
 セミナーをさせていただいており、今回は4回目です。

 
  開催日時: 2018年11月20日(火)10:30~16:30予定
  会  場:【東京・江東区】
       商工情報センター(カメリアプラザ)9F 研修室


 詳しくは、以下をご確認ください。
  http://www.lhpat.com/news/1498.html



 というわけで、前回に引き続き、進歩性の拒絶理由通知を
 テーマにお話をさせていただきます。


 進歩性の拒絶理由通知に対応する際に、
 どのように請求項を補正するかを悩むことがあります。


 補正案を考える際に、よくあるのが、

 請求項と、引用文献を比較する対比表をつくり、
 どの従属請求項であれば、特許になりそうかを考える、

 という、方法だと思います。


 ただ、この方法だと、

 特許になりそうな補正案をみつけることはできても、
 特許にすべき技術をカバーした補正案をみつけることは、

 できないのではないかと、思っています。


 特許になりそうなところで、特許にするのではなく、
 特許をとるべきところで、特許にする、

 ということを考えると、別の視点が必要になってきます。


 
 私が重要だと考えているのは、

 『そもそも、この発明は何を実現したいものなのか?』

 に立ち返る、ということです。


 あたりまえのことのようですが、

 引用文献との違いをみつけることだけに意識が向いていると、
 このあたりまえのことが、できなくなります。



 『発明が何を実現したいものなのか』が分かれば、
 
 それを実現するために、
 何をしているのか、何が必要なのかを、
 突き詰めて考えていきます。


 そうすると、発明と引用文献の違いが、
 自然と見えてくるんですね。


 抽象的な話で分かりにくいかもしれませんが、
 この感覚・コツは、すごく重要です。

 
 『そもそも、この発明は何を実現したいものなのか?』
 に立ち返ることで、 

 引用文献との違いは何かだけに意識を向けていただけでは
 気付かないようなことに、

 気付くことがあります。
 



 詳しく、お聴きになりたい方は、
 セミナーにもどうぞ(笑)


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 こんにちは。田村良介です。


 株式会社R&D支援センター様のご主催で、2018年11月20日に
 拒絶理由通知への対応(主に、新規性・進歩性)をテーマに、
 お話をさせていただきます。


 というわけで、今回は、進歩性の拒絶理由通知を
 テーマにお話をさせていただきます。

 出願時に公知になっている発明等に基いて、
 容易に発明をすることができる場合は、進歩性がない、
 容易に発明をすることができない場合は、進歩性がある、

 と判断されます。


 「容易に発明をすることができる」というのが、
 非常にあいまいで、わかりにくいわけですが、
  
 今日のお話で、進歩性の判断の全体像を、
 つかんでいただけるかもしれません。



 特許庁の審査基準では、例えば、
 
 進歩性があることを肯定する主な要素として、
 
 ・発明の有利な効果
 ・阻害要因


 進歩性があることを否定する主な要素として、

 ・主引用発明に副引用発明を適用する動機付け
   (1) 技術分野の関連性
   (2) 課題の共通性
   (3) 作用、機能の共通性
   (4) 引用発明の内容中の示唆
 ・主引用発明からの設計変更等
 ・先行技術の単なる寄せ集め
 
 などがあげられています。

 
 審査では、肯定的な要素と否定的な要素との
 バランスがどちらに傾いているかに応じて、

 進歩性があるかないかの判断を行っています。


 ですから、

 主引用発明に副引用発明を適用する動機付けがあると、
 審査官から指摘されているのに、
 発明の有利な効果についての主張しかしないと、

 肯定的要素よりも否定的要素が大きいと判断され、
 進歩性が認められないことがあります。


 また、意見書で、主引用発明に副引用発明を
 適用する動機付けがないとだけ主張して、
 発明の有利な効果についての主張をしなければ、

 否定的要素はそれほど大きくなくても、
 肯定的要素が全くないと判断され、
 進歩性が認められないこともあるでしょう。


 ですから、対応としては、

 否定的要素、つまりマイナスをゼロに近づけ、
 肯定的要素、つまりプラスを如何に延ばすかが、

 進歩性の拒絶理由を解消するのに、重要となってきます。



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