こんにちは。田村良介です。
■以前、こんなことがありました。
 アメリカのオフィスアクションで、
 非自明性(日本でいうところの進歩性)がない、
 と判断されていたのですが、
 現地代理人からの提案は、独立請求項を従属請求項で
 限定するというもの。
 たしかに、現地代理人の提案通りに補正をすれば、
 比較的簡単に、特許が認められたかもしれません。
 ただし、その従属請求項は、
 すでに陳腐化した技術に関するものでした。
 ですから、特許が認められたとしても、
 他社に対する牽制効果があるわけではありません。
■例えば、日本の拒絶理由通知でも、
 請求項1について進歩性がないと判断されていたとしても、
 従属請求項については、拒絶理由が存在しない、
 と判断されている場合があります。
 このような場合、ついつい、この従属請求項の内容で、
 権利化をしたくなりますが。
 でも、もしかすると、請求項1のままで、
 特許が認められるかもしれません。
 まずは、請求項1で進歩性が認められる可能性があるかどうかを、
 十分に見極めてからでも、遅くはないはず。
■ところで、
 仕事がら、他の方が書いた明細書や意見書を
 見る機会があります。
 中には『これは、ちょっと、うまくないかも?』
 ということがあります。
 意見書で、たまに見かけるのが、
 例えば、進歩性がないという拒絶理由で、審査官が、
 『引用文献1においてA手段を採用することは、
 当業者にとって容易に想到しうる』ことである、といっているのに
 単に、『A手段を採用することは容易ではない』と主張するだけで、
 容易ではないと主張するための理由が、何も述べられていないもの。
 容易ではない理由がなければ、審査官を説得することはできません。
■そこで、拒絶理由通知への対応において、
 まずいと思われる例を挙げてみました。
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 ・特許を取得できるかもしれないが、他社への牽制効果がない
  と思われる内容で、請求項を補正してしまっている。
 ・補正をしなくても十分に反論が可能なのに、
  審査官の主張に同意して、必要のない補正をしてしまっている。
 ・審査官の主張に反論をしているが、単に反論をしているだけで、
  審査官の主張が適切でないことを説明できていない。
 ・審査官の主張に対して反論をしているようで、論点がずれていて、
  反論になっていない。
 ・主張する内容について、論理が飛躍をしている。
 ・2度目の拒絶理由通知で、1度目に主張した相違点とは関連性のうすい
  相違点をもとに主張をしていて、主張に一貫性がない。
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■このように、拒絶理由通知の対応って、
 難しそうな気がするのですが。
 実は、『この案件は特許にするのが難しい』と思われるものでも、
 ポイントさえ、しっかりおさえれば、
 意外とすんなり、特許になるものです。
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