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-出来事も発明も解釈しだい- 第115号

2016.11.25 カテゴリー/ Column 

こんにちは。田村良介です。


以前、読んだ本にこんなことが書いてありました。


ある島にたどり着いた、2人の携帯電話のセールスマンがいました。


一人は

『ここでは誰も携帯電話を使っていない。飛行機ですぐに帰る。』

と、本国に連絡をいれました。


もう一人は

『ここでは誰も携帯電話を使っていない。すぐに携帯電話を5万台、送ってほしい』

と、本国に連絡をいれました。


おもしろいもので、同じ出来事でも、人によって、解釈は大きく異なります。


前者は、売上をあげることができませんが、

後者は、すばらしい営業成績をあげることができたかもしれません。


この2人の職業はセールスマンですから、

後者の方が、セールスマンとして適切な解釈をしているのでしょうね。


出来事をどのように解釈するかは、その人次第ですが、

できるだけ、自分にとってプラスになるような解釈をしていきたい、

この話を読んだときに、
そんなことを思ったのを覚えています。


振り返ってみると、
特許の世界でも、同じようなことがあります。


特許要件の1つである進歩性についてですが、

進歩性を有しているかどうかの一つの判断基準として、
先行技術と比べた有利な効果があるか、

というものがあります。


例えば、普通に考えると有利な効果がない、
と思えるような技術について、考えてみます。


従来品よりも強度がない素材は、
『強度』という点では劣っています。

ですが、もしかすると、
『柔軟性』という点では優れているかもしれません。


従来品よりも透明性がないフィルムは、
『透明性』という点では劣っているかもしれません。

ですが、もしかすると、
『隠ぺい性』という点では優れているかもしれません。


見方を変えることで、効果がないと思われるものでも、
効果を見出すことができることがあります。



では、従来品よりもコストダウンしたもので、
従来品と同等の性能を有する製品は、どうでしょうか。

コストダウンは技術的な効果ではありませんので、

コストダウンしたことを正面から主張しても、
進歩性の主張としては弱いでしょう。


ただ、見方を変えて、

従来はコストダウン品では必要な性能が得られなかった
   ↓
発明によりコストダウン品でも、
従来の高級品と同等の性能を得ることができた

ということであれば、

従来の性能の悪いコストダウン品と比べて、
技術的に優れたものである、

ということもできます。



出来事は解釈しだい、

発明も解釈しだい、

ということかもしれません。




|◆今日のポイント◆
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 ☆一見、すぐれた効果を有さないように思えるものでも、
  解釈次第では、発明の効果を見出すことができる。


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