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-特許をとったら売上があがるわけではない- 第124号

2017.01.27 カテゴリー/ Column 

こんにちは。田村良介です。


以前、ある起業家の方のご相談にのったときの話です。

その方は、ある玩具の発明をされ、
その発明品を販売する会社を設立されました。


この玩具について、特許出願をするだけでなく、
外観の形状についても、複数の意匠出願をした、

とのことでした。

ご相談は、この特許出願について、
拒絶理由がきたのだけど、どう対応すればよいのか?

というものですが、


ご相談の内容はさておき、

おそらくこれらの出願だけで100万円以上を
ご負担されていたと思われます。


この玩具、非常におもしろいものだと思うのですが、
まだ、ほとんど売り上げが立っていない状況で、

特許出願はまだしも、意匠出願は必要なかったのでは?

と正直なところ、思いました。


商品の形状のバリエーションはいくらでも
考えられるものでしたので、

いくつかの意匠出願で、
とてもカバーできるものではありませんでした。



後日、この方から、新しいアイデアがあるので、
特許出願をしたい、とのご相談を受けたのですが、

私は、この段階で特許出願は辞めた方がいい、
と回答しました。


起業をして、まだ、ほとんど売り上げがたっていない、
十分な資金があるわけでもない、

という状況で、このアイデアについて
特許出願をするのが、このご相談者のためになると、
とても思えなかったからです。


特許出願をするために数十万円を使うのなら、
そのお金を使って広告をうち、玩具を販売した方が

よっぽど、この会社の役に立ちます。


新しいアイデアについて特許出願をするのは、
玩具の販売で、収益があがったあとでもよい、

と考えたわけです。


我々は、出願のご依頼がお仕事になるわけで、
ご依頼をいただけることはありがたいことなのですが、

この判断は、間違っていなかったと、今でも思っています。



出願をしたから、
特許をとったから、
意匠登録をしたから、

売上があがるわけではありません。


このことをもっと早くにお伝えできていれば、
意匠出願もしなくてすんだかもしれません。



特許出願や意匠出願をすることは、

その商品やビジネスに対する1つの投資ではあるのですが、

状況によっては、もっと優先すべき投資があると思います。



◆今日のポイント◆
└───────────────────

 ☆出願をしたから、特許をとったから、
  売上げがあがるわけではない。

 ☆状況によっては、特許出願よりも
  もっともっと優先すべき投資がある。


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