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-企業をより知り理解すること- 第175号

2018.10.29 カテゴリー/ Column 

 こんにちは。田村良介です。


 日本の企業が、外国に特許出願する場合、

 企業から現地の特許事務所に直接的に依頼する
 こともできますが、

 企業から国内の特許事務所に依頼をし、
 国内特許事務所から、その国の特許事務所に
 出願の依頼をすることがあります。


 うちの事務所でも、そういった形のご依頼を、
 多数いただいております。


 企業と現地の特許事務所が直接やりとりをすれば、
 企業の費用負担は軽くなるはずなのに、
 あえて、国内の特許事務所に依頼する意味はあるのでしょうか。


 1つの理由としては、

 国内の特許事務所に依頼をすれば、
 現地の特許事務所と複雑なやりとりをしなくてすみますから、
 企業の業務負荷の軽減につながります。


 もう1つの理由は、

 現地の特許事務所よりも、日本の特許事務所の方が、
 普段から、その企業と接している分、

 その企業の方針や状況を理解した上での提案ができる、
 ということなんだと思います。


 以前、こんなことがありました。

 米国へ出願をし、審査の結果、
 オフィスアクションが通知されました。
 (日本でいうところの拒絶理由通知です)

 現地の特許事務所からの提案は、
 独立請求項を下位の従属請求項で限定するというものでした。

 たしかにこの提案どおりに請求項を補正すれば、
 特許は認められやすいのですが、

 この企業様の実際の製品で利用されている技術とは
 ほど遠い請求項になります。


 そこで、私からは、

 特許にするのは、そこまで容易ではないですが、

 実際の製品をしっかりカバーできる内容で、
 請求項を補正するように、

 ご提案をさせていただきました。
 

 特許の仕事をしていると、どうすれば特許になるか?
 ばかりが先にたってしまいがちですが、

 実際の製品はどうなのか?
 どうすれば競合他社を牽制できるような特許になるのか?

 という視点をもつことが、非常に重要です。


 特許事務所の弁理士だから、
 特許のことさえ分かっていればいい
 というものではなく、

 ご依頼をいただく企業様の方針や製品、
 その業界のことなど、より多くを知ったうえで、

 業務にのぞむことが重要だと考えています。


  
 冒頭の外国出願についてのご依頼の場合でも、
 このような姿勢で業務に取り組むことで、

 よりよいご提案を企業様に提供できるのではないか、
 と思います。


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