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-国語の先生から学んだ審査官への対応- 第122号

2017.01.13 カテゴリー/ Column 

こんにちは。田村良介です。

子供のころから、勉強は好きな方だったのですが、
宿題だけは、どうも気が進みませんでした。


特に、高校生の頃は、部活で精一杯で(言い訳?)、
宿題を、ほとんど提出しなかったような(汗)

当然ですが、成績はさんざんな結果に。。。


高校1年生のときに、夏休みの宿題を、
いっさい提出しなかったのですが、

国語の先生だけは、しつこかったです。
(今となっては、ありがたい話なのですが)


夏休みが終わった後、先生から

「読書感想文だけでも、提出しなさい」

とご忠告をいただきました。


その後も、

「2学期が終わるまでには、提出しなさい」

「3学期が始まるまでには、提出しなさい」

と何度も、何度も。


最後には、

「3学期が終わるまでには、提出しなさい」
と。

先生、ごめんなさい。



お恥ずかしい話ではありますが、

さすがに、私も、読書感想文だけは、
3学期の最終日(高校1年生の最終日)に提出をしました。

(もっと早くに提出しろよ、という話ではありますが)


当然、夏休みが終わった後も、次々と宿題がだされるわけですが、

先生は、3学期が終わるまで、
読書感想文の提出だけを求めてきました。


もし、途中で「読書感想文を提出しなさい」と言うのをやめて

「冬休みの宿題を提出しなさい」と言われていたら、

私の宿題は全滅していたかもしれません(笑)




ところで、話は、ガラッと変わります。


拒絶理由通知がだされた後、意見書を提出すると、
再度、拒絶理由通知がだされることがあります。

この後、さらに、意見書を提出しても、
結果として拒絶査定がだされると、

拒絶査定不服審判を請求することになります。


このように審査官と何度もやりとりをする際、
途中で、反論のポイントを変えてしまうのは、

あまり得策でない場合があります。


例えば、

「A手段と、B手段と、C手段とを備える通信装置」

という請求項について、新規性・進歩性がないとの
拒絶理由が通知されたとします。

一度目の意見書提出の際に、A手段をa手段と補正して、
「通信速度に優れる」と主張したとします。

ですが、この反論が認められず、

二度目の意見書提出の際に、C手段をc手段と補正して、
「消費電力が小さい」と主張したとします。


このような場合、
二度目の意見書提出で、特許が認められたとしても、

あまり良い対応ではないかもしれません。


というのは、

もしかすると、一度目の意見書提出の際に、
C手段をc手段と補正していれば、

A手段をa手段と補正しなくても、
特許が認められたかもしれません。


このように、審査官とのやりとりの途中で、
反論のポイントを変えてしまうと、

結果的に、
特許権の権利範囲が狭くなってしまうことがあります。


もちろん、例外はあるとは思うのですが、
2度目の補正の際に、

a手段と相乗効果を発揮して、
「通信速度に優れる」ことがさらに主張できるような、
別の補正を考える方が、

より有効な権利の獲得につながると、言えそうです。



先ほどの国語の先生のように、

同じポイントで、何度も何度も審査官の理解を得る、

ということが、より有効な特許権の取得につながります。


先生のご指導が、今の仕事にも活きています(笑)
先生、ありがとうございます!



◆今日のポイント◆
└───────────────────

 ☆審査官とのやりとりの際に、反論のポイントを
  変えることは、得策ではない場合がある。

 ☆同じポイントで反論できないかを考えることが、
  より有効な特許権の取得につながる。


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