こんにちは。田村良介です。
特許や商標など、知的財産に関する仕事は、
一つのミスが大きな問題につながることがあります。
例えば、特許出願をしてから3年以内に
出願審査請求をしなければ、
特許庁で審査されることはなくなりますから、
特許を取得することができなくなります。
出願審査請求をする際に、
出願番号を誤って記載して特許庁に提出すると、
大変なことになります。
こういった重大なミスを防ぐために、
特許事務所ではダブルチェックなどの
対策を行っています。
ところで、
皆さんもお気付きのように、
仕事をしていてミスの少ない人と多い人がいます。
ミスが多いのは、本人の注意不足によるところも
多いのですが、
人によってミスが多くなる理由は、
これだけではないと思っています。
というのも、
ミスが少ない人は、
『ミスが発生しにくい手順や方法』
で仕事を進めていますし、
ミスが多い人は、
『ミスが発生しやすい手順や方法』
で仕事を進めています。
要は、注意力だけに頼るから
ミスが起こるのであって、
ミスが発生しにくいように、手順や方法が
改善されていないのが、原因だったりします。
例えば、ちょっとしたことですが、
私は、明細書、意見書、お客さまに提出する
コメントなど、文章を作成した場合は、
必ず印刷をして読み直すように徹底をしています。
ディスプレイを見ながら確認をしていても、
どうしても気が付かないことがあります。
このちょっとしたことをするだけで、
誤字脱字、
冗長になっている文章、
読み手にとって理解しづらくなっている文章、
読み手が誤った解釈をする可能性がある文章などを、
かなりの確率で、発見することができます。
おかげさまで、田村さんの文章は読みやすい、
ということを、よく言っていただけます。
話は少しそれましたが、
言いたかったことは、
ミスが発生しにくいように、
手順や方法を工夫することで、
ミスは防げる、ということです。
|◆今日のポイント◆
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☆注意力だけに頼るのではなく、
手順、方法を工夫することで、ミスは防げる。
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■当メールマガジンについて
※当メールマガジンは、私個人の特許に対する考え方や
ノウハウをお伝えするものであり、ご紹介する内容の
すべてが絶対的に正しいとは、考えておりません。
予めご了承いただいたうえで、お読みください。
■メールマガジン「役に立つ特許実務者マニュアル」は
著作権により保護されています。
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こんにちは。田村良介です。
皆さん、耶律楚材(やりつそざい)
という人物をご存知でしょうか。
世界史が好きな方なら、ご存知かもしれません。
モンゴル帝国を作ったチンギス・カーンの側近が、
耶律楚材です。
この耶律楚材の名言に、
「一利を興すは一害を除くに如かず」
というものがあります。
意味は、
「1つの利益のあることを始めるよりも
1つの害を取り除くことの方が良い」
というもの。
例えば、
健康について当てはめてみると、
青汁を飲むことが一利であるとするなら、
深夜にラーメンを食べることが一害にあたります。
つまり、深夜にラーメンを食べることをやめる方が、
青汁を飲むことよりも、健康にとって有効だということ。
良い食習慣を一つ作るよりも、
悪い食習慣をなくす方が、難しいのですが、
その方が、より健康にも効果的なのでしょうね。
ところで、
「一利を興すは一害を除くに如かず」は、
特許の世界でも言えることかもしれません。
特許出願をして自社の製品を保護する、
ということが、一利であるとすれば、
自社の製品が他社の特許権を侵害することは、
一害なわけです。
他社の特許権を侵害すると、
その製品の製造・販売ができなくなることもありますから。
そう考えると、
他社の特許を侵害するリスクを排除する、
自社にとって問題となる他社特許をゼロにする、
という活動が、
場合によっては、特許出願をするよりも重要
と言えるのかもしれませんね。
そうすると、次に、
他社の特許権を侵害する、
という一害を除くには?
という問いが出てきます。
例えば、他社特許をつぶしてしまう。
無効審判や特許異議申立てをするだけでなく、
調査をして無効にできそうな資料を集めておく、
ということだけでも良いかも知れません。
また、自社特許と他社特許とをクロスライセンスをして、
他社特許の侵害とならない状態にする、
というのも1つ。
製品の設計を変更して、
他社特許にひっかからないようにする、
というのも選択肢としてあります。
|◆今日のポイント◆
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☆一利を興すは一害を除くに如かず。
☆他社特許の侵害を防止するための活動は、
最も重要な活動の1つ。
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こんにちは。田村良介です。
永禄3年5月19日。
2万5千もの大軍で尾張に侵攻した今川義元。
一方、織田信長は、明け方に清州城を出発。
熱田神宮で戦勝祈願を行った後、
善照寺砦で2千~3千の軍勢を整えます。
2千の兵で善照寺砦から出撃し、雨の中、兵を進め、
桶狭間にいる今川義元に奇襲をかけます。
今川義元は、織田家臣の毛利良勝に打ち取られ、
織田家は、この戦いで大勝利をおさめます。
桶狭間の戦い、
教科書にも出てくる、非常に有名な戦いです。
今川勢の2万5千のうち、
桶狭間で今川義元を守る兵は5千程度だったそうです。
この戦いで、織田勢が勝利をおさめた理由としては、
今川勢の油断、天候、信長の徹底した情報管理などが
あるのだとは思うのですが、
兵数の差による不利を、局所的に小さくすることが
できたことも、1つの理由ではないかと思います。
ランチェスター法則を、
経営に応用したランチェスター戦略でも、
弱者が強者に勝つための原則として、
「一点集中主義」があげられています。
限られたリソースを、
特定の地域、顧客層、用途などにしぼることで、
市場で優位性を発揮することができます。
この「一点集中主義」は、
特許の分野にも応用できるのではないかと。
開発のリソースを一点集中するのもそうですが、
特許を取得するための予算や人員も、
特定の製品や特定の技術に、より優先的に配分する。
(すでに、そのように実践されている企業さんは、
多々あるかと思いますが)
そうすることで、
競合他社に対して、より競争優位になり、
その優位性を持続させることができるように思います。
|◆今日のポイント◆
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☆ランチェスター戦略では、
弱者が強者に勝つための原則として、
「一点集中主義」があげられている。
☆特許の分野でも、
特定の製品や特定の技術に、
より優先的にリソースを配分することで、
競争優位性を高めることができる。
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こんにちは。田村良介です。
仕事をしていて、同僚、部下、上司と
意見が対立することがあります。
ただ、対立した場合でも、
互いの意見の良いところを取り入れると、
もともとの意見よりも、
洗練された結論にたどりつくことって、ないでしょうか?
例えとしては、安易ですが、
ラーメンなどのお腹のもちがいい麺類が食べたい人と、
さっぱりしたものを食べたい人がいる場合に、
サラダラーメンや冷麺を食べる、みたいな。
ちょっと、違うかな?(笑)
かの有名な、ピーター・ドラッカーは、
『成果をあげる者は、
意図的に意見の不一致をつくりあげる。』
と、その著書で述べています。
意見の不一致があることで、
複数の選択肢(代案)をもつことができますし、
また、意見が1つしかない場合に比べ、
最終的な結論のクオリティが高まります。
大変お恥ずかしながら、
自分とは異なる意見の人がいると、ついつい、
それを否定したくなってしまうことがあるのですが、
自分とは異なる意見を、
より質の高い結論を導きだすためのチャンスと捉え、
異なる意見を歓迎できるようになりたいですね。
例えば、拒絶理由通知や拒絶査定も、
出願人と審査官との間で意見の不一致が起こっている
と、考えられるのかもしれません。
つまり、拒絶理由通知や拒絶査定を、
無効理由のない特許にすることができる機会、
権利範囲の解釈に疑義が生じないようにする機会など
と捉えることもできるわけです。
意見の不一致があった場合に、
より良い結論に導くには、
いきなり相手を説得することではなく、
相手の真意を理解することが必要ではないか、
と思っています。
ですから、拒絶理由通知の場合であれば、
審査官の考えていることを、
細部にわたるまで完全に理解することが、
必要になってきます。
言葉で書くと簡単ですが、意外に難しかったりします。
審査官の考えていることが理解できれば、
あとは、お互いの意見の不一致を
埋めるような対応を考えればよい、
ということになります。
|◆今日のポイント◆
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☆意見の不一致を歓迎する
☆審査官の意図を細部にわたるまで
完全に理解することが大切。
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こんにちは。田村良介です。
先日、『胸キュンで100億円』(著:上阪 徹氏)
という本を読みました。
『胸キュンで100億円』って、いったい何の本?
って感じですよね。
この本は、
女性向け恋愛シミュレーションゲームを制作している
株式会社ボルテージを紹介したものです。
胸がキュンとするような恋愛ゲームで
年商100億円となった会社です。
この本では、ボルテージ社が成功した秘訣が
紹介されています。
なんでも、ボルテージ社では、
売れる企画作りのための教科書があるのだとか。
例えば、ハリウッド映画のストーリー構造を
研究し、理解をしたうえで、
ゲームのストーリーを作っていくそうです。
こういう勝ちパターンというのは、
映画やゲームだけでなく、
他の分野でもありますよね。
例えば、スポーツの世界とか。
野球であれば、先制点をとって、
絶対的な守護神が最後に守り抜く、みたいな。
実は、特許の世界でもあります。
そこで、
新規性・進歩性の拒絶理由への反論パターンは、
いくつあるだろう?
と考えてみました。
すると、思いついたもので、
16パターンがありました。
もしかすると、まだあるかもしれません。
これで、全てのケースがカバーできるわけ
ではありませんが、
これらのパターンを組み合わせたり、
少しアレンジすることで、
かなりのケースがカバーできるかと思います。
こういう勝ちパターンを持っていると、
安心して戦えます。
例えば、代表的なものを1つだけご紹介すると、
複数の引用文献を組み合わせて進歩性がない
と判断されている場合、
主の引用文献に、副の引用文献を組み合わせると、
主の引用文献の課題に反するような結果になる
ことがあります。
主の引用文献に副の引用文献を組み合わせることに
阻害要因があるわけです。
このようなケースであることに気が付けば、
この点を指摘することで、
審査官の判断に反論することができますし、
多くの場合、これで拒絶理由は解消します。
|◆今日のポイント◆
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☆拒絶理由への対応は、
勝ちパターンをもっておくとよい。
☆主の引用文献に、副の引用文献を組み合わせると、
主の引用文献の課題に反することになる場合は、
組み合わせに阻害要因があるといえる。
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