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特許の知識

期間の計算(特許法第3条)

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1.期間の計算

特許の権利化のための手続きや権利の存続に関しては、様々な期間が定められています。

 

例えば、出願審査の請求期間は出願日から3年、拒絶理由通知への応答期間は拒絶理由通知通知の発送日から60日、拒絶査定不服審判の請求期間は拒絶査定謄本の送達日から3か月、特許料の納付期間は特許査定又は特許審決の謄本の送達日から30日、特許権の存続期間は出願日から20年です。

 

手続は、定められた期間内に行わなければなりません。また、特許権の存続期間が過ぎれば、特許権は消滅します。

 

そのため、期間の計算をどのように行うかについて、正確に理解することが必要です。

2.初日不算入の原則

期間の計算の仕方については、特許法第3条に定められています。

特許法第3条第1項第1号は、「初日不算入の原則」についての規定です。

 

期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

 

拒絶理由通知が届くのは、大抵の場合、日中です。朝早くに届くことも、夜遅くに届くこともあると思いますが、必ず午前0時に届くものではありません。そのため、拒絶理由通知が届いた日は、拒絶理由通知への応答期間の1日目として算入しません。

 

例えば、拒絶理由通知が3月31日に届いた場合には、拒絶理由通知への応答期間の初日は3月31日ですが、1日目として算入する日(起算日)は、翌日の、4月1日になります。そして、4月1日が1日目、4月2日が2日目、・・・と数えていき、60日目の5月30日が、拒絶理由通知への応答期間の末日です。

このように、期間の初日は、原則として算入しません。しかし、その期間が午前0時から始まる場合には、期間の初日も算入します。期間が午前0時から始まる場合の具体例としては、拒絶理由通知の応答ができる指定期間を延長した場合の延長期間、特許料の納付期間を延長した場合の延長期間などがあります。

 

例えば、特許料の納付期間の末日が3月31日だったとします。特許料の納付期間を30日延長したときには、延長期間の初日は4月1日となりますが、その4月1日も、延長期間の1日目として算入します。そして、4月1日が1日目、4月2日が2日目、・・・と数えていき、30日目の4月30日が、特許料の納付期間の延長期間の末日です。

3.月又は年をもって期間を定めたとき

上記においては、定められた期間が「~日」の場合、つまり、日をもって期間を定めたときの例を挙げました。

では、定められた期間が「~月」又は「~年」の場合、つまり、月又は年をもって期間を定めたときには、どのように期間の計算をすればよいでしょうか。

 

特許法第3条第1項第2号には、以下のように定められています。

 

期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

 

つまり、月又は年をもって期間を定めたときには、暦に従って計算するので、月の初日(1日)から月の末日(28日~31日のいずれか)までが1か月、年の初日(1月1日)から年の末日(12月31日)までが1年とされます。

例えば、拒絶査定が3月31日に届いた場合には、拒絶査定不服審判の請求期間の起算日は、3月31日の翌日の4月1日です。そして、4月1日から4月30日までが1か月目、5月1日から5月31日までが2か月目、6月1日から6月30日までが3か月目となり、3か月目の末日である6月30日が、拒絶査定不服審判の請求期間の末日です。

 

しかし、月の初日又は年の初日が期間の起算日にならない場合には、その期間は、最後の月又は年において、その起算日に応当する日(同じ日)の前日に満了することとなります。

 

例えば、拒絶査定が4月14日に届いた場合には、拒絶査定不服審判の請求期間の起算日は、4月14日の翌日の4月15日です。そして、4月15日から3か月後の応当日が7月15日となるので、その前日である7月14日が、拒絶査定不服審判の請求期間の末日です。

ここで注意が必要なのは、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に期間が満了するということです。

 

例えば、拒絶査定が11月29日に届いた場合には、拒絶査定不服審判の請求期間の起算日は、11月29日の翌日の11月30日です。そして、11月30日から3か月後の応当日は2月30日となりますが、2月30日はありません。そのため、2月の末日である2月28日又は2月29日が、拒絶査定不服審判の請求期間の末日となります。

4.期間の末日が休日に当たるとき

では、期間の末日が休日に当たるときには、どうなるでしょうか。

特許法第3条第2項には、以下のように定められています。

 

特許出願、請求その他特許に関する手続(以下単に「手続」という。)についての期間の末日が行政機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第九十一号)第一条第一項各号に掲げる日に当たるときは、その日の翌日をもつてその期間の末日とする。

 

つまり、特許に関する手続についての期間の末日が特許庁の休日(土曜日、日曜日、祝日、12月29日~1月3日)に当たる場合には、その休日の翌日が、期間の末日となります。

例えば、出願審査の請求期間、拒絶理由通知への応答期間、拒絶査定不服審判の請求期間、特許料の納付期間などは、特許に関する手続についての期間です。そのため、これらの期間の末日が特許庁の休日に当たる場合には、特許庁の翌営業日が、期間の末日になります。

 

ただし、特許権の存続期間は、特許に関する手続についての期間ではありません。そのため、特許権の存続期間の末日が特許庁の休日に当たる場合であっても、その日に満了しますので、ご注意ください。

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