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特許の知識

請求項のよくある失敗

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請求項のよくある失敗

特許事務所では、お客様から特許出願の依頼があると、発明の内容についてヒアリングを行い、特許庁に提出するための出願書類の作成を行います。この特許出願のための書類の中でも、最重要なのが、「特許請求の範囲」という書面です。

 

特許請求の範囲は、特許を受けようとする権利の内容を特定するための書面で、発明の内容を特定した1又は複数の「請求項」から構成されます。

 

例えば、以下のように記載されます。

 

[請求項1]

ユーザの操作にしたがって、メッセージを入力する入力手段と、

入力されたメッセージをサーバ装置に送信する送信手段と

を備える装置。

 

この請求項の記載をもとに発明の内容が特定されますから、特許が認められた際には、請求項に記載された内容で、特許権が決まります。

ですから、請求項の記載の仕方が悪ければ、特許権の範囲が必要以上に狭くなってしまうこともあります。

この請求項の記載する際によくある失敗が、発明の対象となっている製品そのものに引きずられて、請求項を記載してしまうことです。

 

例えば、発明品が、レーザーを照射して被加工品を切断していたとします。このような場合に、請求項を「・・レーザー照射により被加工品の本体から上端部を切断する切断手段と・・」といったような記載をすることがあります。

 

もちろん、レーザー照射でなければ上手くいかない場合であれば、このような記載で問題ないのですが、実際には、レーザー照射以外の切断方法でも、同じようなことが実現できる場合があります。

 

ですから、請求項を「・・レーザー照射により被加工品の本体から上端部を切断する切断手段と・・」といったような記載にしてしまうと、他社製品が、レーザー照射以外の方法で被加工品を切断していた場合に、特許権侵害であると主張することができなくなってしまいます。

 

つまり、製品に引きずられて、請求項を記載してしまうと、仮に特許権を取得したとしても、他社は、特許権侵害とならないように回避をしたうえで、発明のコンセプトだけを真似することができてしまいます。

それでは、どのように請求項を記載すれば、よいでしょうか。

 

請求項を記載する際に、最も重要なのは、発明の本質を捉えること。

 

「発明の本質を捉える」とは、発明の効果が発揮されるのに必要な最低限の要素・条件は何かを見つけること。発明の効果が発揮されるのに必要な最低限の要素・条件のみで請求項が記載されていると、他社が発明のコンセプトのみを真似て特許を回避する、といったようなことはできなくなります。

 

そして、発明の要素の捉え方は、なぜ、発明の効果が発揮されるのか、どのような原理・現象で発明の効果が発揮されるのかを考え抜きます。そうすると、発明の効果が発揮されるのに必要な最低限の要素・条件が見えてきます。あとは、これを請求項として、文章にしていくだけです。

上の例で言えば、被加工品をレーザー照射以外の方法で切断した場合でも、発明の効果が発揮されるのであれば、「被加工品の本体から上端部を切断する切断手段と・・」と記載すればよい、ということになります。もし、上端部を本体から単に取り除けばよいのであれば、切断手段でなくてもよいのかもしれません。例えば、「被加工品の本体から上端部を除去する除去手段と・・」と記載します。

 

このように、発明の本質を捉えて請求項を記載することで、製品に引きずられて、請求項を記載してしまうこともなくなり、有効な特許の取得が可能となります。

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